[156]第8回 正座胼胝(だこ)とは


発行日:2012/10/03
タイトル:第8回 正座胼胝(だこ)とは
シリーズ名:正座のある生活
シリーズ番号:8

分類:電子書籍
販売形式:ダウンロード販売
ファイル形式:pdf
販売価格:100円

著者:上村 樹
イラスト:中理 柴

販売サイト
https://seiza.booth.pm/items/3131534

本文

 長時間に渡って正座をしたときに、胼胝ができてしまって痛くて正座ができなくなってしまったりする経験のある人もいると思います。また正座でできる胼胝は足にできて、夏場などは目立つので恥ずかしいと思ってる方もいると思います。

 今回は、いわゆる正座胼胝(あるいは座り胼胝とも呼ばれます)についてのご紹介をします。
 そもそも胼胝というのは、一定部位に長期間にわたってなんらかの機械的圧力がかかることにより皮膚の角膜が増殖してできるものです。角膜が増殖すると、そこのところが硬くなってひどくなると痛くなります。
 正座によってできる胼胝はくるぶしの所にできることが多いです。他にも足の底にできる胼胝や筆記用具によるペン胼胝などがあります。
 似たような症状を呈すものに、「イボ」や「魚の目」などもあり、よく間違えられることがあります。すべて「皮膚が硬くなる」という点においては似たものでありますが、厳密にいうとまったく違うものです。
 まずイボというのは、ヒトパピローマウイルスというウイルスの感染によってできるものと、脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)といって加齢にともなってできる良性の腫瘍の二種類にわけられます。
 ヒトパピローマウイルスは健康な肌には感染することはありませんが、皮膚が傷ついていたりすると感染してそこにイボができます。機械的圧力がかかりやすいところのみ(足の底など)にできる胼胝とは違い、イボは様々なところにできる可能性があります。ウイルス感染により生じるため、他の人に感染することもあります。
 また水イボというのもあり、これは性軟属腫ウイルスに感染してできるもので、主に子供に発症します。普通のイボよりも感染しやすいのが特徴で、プールなどで感染することが多いです。
 また魚の目は、胼胝よりも皮膚の深い部分が硬くなって芯を作ります(胼胝は表面の部分が硬くなる)。歩くことで大変な痛みを伴うのも特徴です。
 魚の目と胼胝の共通してるところは、皮膚への機械的圧力から皮膚を守るために硬くなる、いわゆる皮膚の防御反応だという点です。胼胝や魚の目ができたら、とにかくなるべく皮膚への圧力を減らすのが一番大切なことです。
 正座胼胝ができてしまったら、正座もなるべく控えるようにしたほうがいいでしょう。イボと違って感染する心配はありませんが、治療はなるべく早くに行うようにしましょう。魚の目は歩くのに支障がでますし、胼胝はひどくなったら魚の目になって激しい痛みを伴うようになるためです。

☆治療
 胼胝の治療については、サリチル酸を含んでいる絆創膏(スピール膏)で角質を柔らかくします。けれど治療をして胼胝を治しても、根本的なところが治っていなくてはまた発生してしまいます。
 つまり、胼胝はとにかく「機械的な圧力」がなくならないと治ってもまた再発してしまうので、正座胼胝の場合はまずは正座をする時間をなるべく短くするようにしましょう。
 また正座をする時は、硬い床に直接座るのではなくクッションや座布団などを敷くようにするのも良いです。
 ちなみに魚の目の治療でもスピール膏は使われますが、レーザーで削る場合もあります。たまに、爪切りなどで自分で切り取ってしまう方もいるようですが、魚の目の場合は胼胝と違って深い部分まで病巣が食い込んでいるため、出血してしまうこともあります。
 ここで注意することは、もしイボだった場合は削ってしまうと逆に増えてしまうところです。イボの治療では削るのではなく、液体窒素を使って除去します。前述したように、イボはどんどん拡がっていってしまうので、まだ少ないうちに早めに皮膚科を受診して治療するのが最善の方法です。

 二時間の正座を何年も続けていて正座胼胝ができてしまったという話も聞きます。正座とうまくつきあっていくためには、やり過ぎないようにするのがコツでしょう。

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