[166]第7回 正座でティータイム


発行日:2014/02/22
タイトル:第7回 正座でティータイム
シリーズ名:とりあえず座れ
シリーズ番号:7

分類:電子書籍
販売形式:ダウンロード販売
ファイル形式:pdf
販売価格:100円

著者:かねしろさく
イラスト:林 加奈子

販売サイト
https://seiza.booth.pm/items/3131613

本文

 ちょっとしたお出かけや食事のとき、素敵な喫茶店を知っているとなにかと便利ですよね。カフェの心地良い空間に癒されるし、おしゃれなお店に友達を連れて行くと喜ばれるし。私も食べ歩きやカフェ巡りが好きで、いつも気になったお店にはとりあえず入ってみます。
 喫茶店にもいろいろあって、メイドさんがいたり、ジャズの生演奏が聴けたり、個性的なお店がたくさんある。その中から自分好みの一軒が見つかったらうれしいですよね。
 というわけで今回は、正座でカフェタイムを楽しめる座敷席ありの喫茶店を紹介しよう。

 一軒目は高円寺の「カフェ・アパートメント」……なんだか物語を感じさせる素敵な店名に、早くもちょっとわくわくしてしまう。
 お店の玄関で靴を脱いで中にあがるタイプの、いわゆる家系カフェというやつ。お店のイメージを一言で表現するなら、中央線沿いの脱力系おしゃれカフェ、といった感じだろうか。
 高円寺駅の北口を出て左にある商店街の中にあるカフェ・アパートメントは、誰かのアパートの一室のような内装だ。まるで友達の家にお呼ばれしたみたいな、不思議な居心地の良さは癒し度抜群。いつまでもまったり過ごしていたくなる。
 お茶の種類がとても豊富で、スタンダードなカフェメニューの他に「黒糖マシュマロカフェオレ」や「六種類のスパイスチャイ」など、味を試してみたくなるオリジナルメニューがたくさん。女の子を連れて行ったら絶対喜びそう。
 ソフトドリンクだけでなくカクテルなどのお酒類やフードメニューも充実していて、お茶だけでなくさまざまな楽しみ方ができそうだ。寒い日だったので私はホットカルーアミルクを注文。ホットのカルーアミルクをはじめて飲んだけど、身体の芯まで暖まる。
 各テーブルには色鉛筆が置いてあって、白い紙のコースターにお絵描きできるようになっていた。友達と来ていろいろ落書きするのも楽しい。飾ってある絵本も可愛らしい。私が来店したときは、大学生くらいの初々しいカップルが二人で絵を描いていて微笑ましかった。
 家みたいな空間でお絵描きしていると、童心に返ってのんびりした時間を過ごせそう。たとえば休日の午後など、ゆるーいカフェタイムにおすすめのお店だ。

 二軒目は日暮里の谷中銀座商店街にある「和栗や」
 名前の通り和栗専門店で、香りづけのお酒や香料などを使わずに栗本来のおいしさを生かしたデザートが楽しめる。
 私はイートイン限定の栗薫モンブランをチョイス。甘さ控えめでシンプルな味わいながらも、風味豊かな和栗を堪能できる絶品だった。一人で行ったのだけど、今度は甘いもの好きの友人を連れて行きたい。誰かに伝えたくなる美味しさである。
 あと、ほうじ茶がモンブランに合っていてとてもおいしかった。本当においしいほうじ茶って、香ばしくて柔らかな味がするのかと、感激。
 店内はテーブル席と座敷席があり、インテリアや飾りも和風な雰囲気である。上品な和菓子屋さんといった趣だ。お持ち帰りもできるのでお土産にも最適だろう。どの年代の人にも喜ばれるにちがいない。
 モンブランだけでなくパフェやアイスなど多彩なデザートや季節限定メニューもあり、一度行ったら通いたくなること間違いなしのお店です。

 三軒目は浅草にある「K's cafe」
 家族経営のアットホームな雰囲気のK's cafeは、もともと小料理屋だった内装をカフェにしたため店内はすべて座敷席。和の雰囲気とカフェが程よく合わさってなんとも言えない空間になっている。モダンで気楽、といった絶妙な感じ。
 K's cafeの目玉は激安のナポリタン。昔ながらの喫茶店風の正統派な一品である。ドリンク付きで四百円という嬉しい価格だ。ナポリタンはテイクアウト可能で、その価格はなんと二百五十円! すごい! なんでも、原価ギリギリの大特価だそうだ。
 その安さの秘密は、店主の心遣いにある。宮城県気仙沼出身の店主は、東日本大震災のとき東北地方へのたくさんの支援をしてもらった感謝の気持ちを示すため、この激安ナポリタンをはじめたのだそうだ。この値段でナポリタンが食べられるお店って他にないんじゃないだろうか。
 また店内では被災者が手作りしたミサンガを販売していて、買ったお金が被災者への支援金として送られる。ストラップやキーチェーンに加工されたミサンガがひとつ三百円で販売中だ。私も宮城県出身なので、東北を応援してくれるお店を見つけるとうれしくなる。

 とにかく気さくで優しい雰囲気で、人見知りな私でも打ち解けてリラックスできるお店だった。下町人情を感じる素敵な喫茶店、浅草雷門も近いので観光ついでにぜひ立ち寄ってほしい。また、店主の本業はパティシエとのことなので、ケーキもおすすめです。
 おしゃれな雰囲気、こだわりのメニュー、ホスピタリティなど、どのお店もそれぞれの持ち味があって素敵でした。
 座敷席の喫茶店ってめずらしいけど、意外とあるものです。飲食店検索サイトで「座敷席あり」もしくは「日本茶専門店」なんかで探してみると、あなたのおうちの近くでも見つかるかも。
 のんびりと正座をしてお茶を飲んでいると、日本人でよかったなぁとしみじみ思える。正座でくつろぐなら縁側で緑茶もいいけれど、カフェでコーヒーもなかなかハイカラではないだろうか。

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