日本正座協会


エッセイ


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しびれのメカニズム


投稿者:だれぱんださん


1.正座の達人?
 所さんの目がテン!2(日テレムック、定価714円+税)という本を見つけました。その一部は同ホームページ(http://www.ntv.co.jp/megaten/library/date/97/11/1102.html)にもあります。
 その中で正座1時間の耐久実験が行われました。剣道歴13年の男性は脚の感覚はありませんでしたが、日舞歴5年、茶道歴3年の2人の女性は終了後(なんと)元気に飛び跳ねたといいます。彼女らを正座の達人と呼んでいました。
 しびれのメカニズムとしては末梢神経の圧迫と血行不良による一過性の麻痺といわれています。そこでガラス板に座って検討していました。しびれる人は足の甲をべったりと床につけて座り、足背動脈を圧迫しているのに対し、達人は足首を上手に床につけて、足背動脈の圧迫を避けていたそうです。

 これはかかとを開き、親指を重ねることでこの達人の座り方になるではないかと考えられます。足の甲の付け根に動脈(足背動脈)が走っています。手で触れると拍動を触れます。
かかとを開かず、親指を重ねないとこの動脈を直撃して早くしびれがくると考えられます。
  ただしこの理屈では足首より下のしびれは説明できても膝より下の感覚麻痺は説明できません。
そこで、次の実験を行いました。

2.正座によるしびれ(感覚麻痺)のメカニズム
 はじめに 実験の目的は正座により感覚神経麻痺が発生する要因を検討し、少しでも苦痛の少ない正座法をみいだすことであります。
 床に接する面を確認するため板の間に正座しました。
私の場合開始30分よりしだいにしびれ始め(足の感覚がなくなり始め)、40分で膝から下が完全感覚麻痺になり、50分から痛みでつらくなりますが、なんとか1時間正座できました。
約3週間たちましたが、この傾向は変わず、この状態を利用しました。
 正座の姿勢で血管や神経が圧迫される部位は直接圧迫される足背(足の甲)の部分と、血管・神経の過度の屈曲で圧迫される膝の裏の部分2ヶ所が考えられます。どちらの部位の圧迫が感覚麻痺の原因なのでしょうか。次の実験を行いました。

実験1
 横座りになり、膝を90度開きます。足背動脈を触れながら膝を曲げます。しだいに脈の触れが悪くなり、0度でほぼ触れなくなります。左右の足両方で同じ結果でした。
 この結果から膝を強く屈曲すると下肢の血流が停滞し、脈が弱くなることがわかりました。では膝の屈曲をゆるめた正座をしてみます。

実験2
 かかととお尻の間に座布団を2つ折にして、正座しました。約6cm程お尻の位置が高くなりました。体重が膝に逃げないようにやや後ろに体重をかけました。
つまり通常の正座より膝の屈曲がゆるい状態で、体重はいつも通り足首あたりにかかることとしました。
 結果は30分過ぎよりしびれ始めますが、45分でも足の感覚はありました。
60分たっても膝から下の感覚はありました。
しびれも軽くすぐ立てましたが、しびれが軽微であるため足首を伸ばすとき激痛が走りました。 ちなみに座布団1枚では約3cm程お尻の位置が高くなり、30分よりしびれ始め、40分で完全感覚麻痺になりいつもと変わりありませんでした。ただし、1時間たってもつらくなく、すぐ立てました。

 次に膝の屈曲を変えずに、下肢にかかる荷重を減らした正座をしてみます。

実験3 
 次にお尻と床の間に文庫本(合計9cm)をいれて、足首にかかる上半身の重みを減しました。
これで膝の屈曲の角度を変えずに、足首付近にかかる重みが軽くなりました。結果はやはり30分よりしびれ始め、40分で膝から下の完全知覚麻痺、50分からつらくなり、1時間で終了。つまりいつもの正座とほとんど変わりありませんでした。
 さらに本を増やし10cmにして足首にかかる体重をかなり減らしても同様の結果でした。ただし、終了後は足の甲の痛みはかなり減少し、足首もすぐに曲げられ、とても楽でした。
 所さんの目がテン!2より正座のしびれのメカニズムは末梢神経の圧迫と血行不良による一過性の麻痺とされています。正座の姿勢では直接血管・神経を圧迫する足背(足の甲)の部分と過度の屈曲で血管・神経を圧迫する膝の裏の2ヶ所が考えられます。結論としてこれらの実験結果から正座による知覚神経麻痺、特に正座による膝から下の感覚麻痺は膝の過度の屈曲によるところが大きいといえそうです。
 正座用の椅子を用いてもしびれてくるということもこれで理解できます。Gパンでは厚く硬い生地がきつく膝の裏を締め付けるためにしびれやすくなると考えられます。

おわりに
 今回の実験では最も苦痛の少ない正座法はかかととお尻の間に座布団をはさむことでしたが現実的ではありません。ただ、少し重心を前にするということは膝の屈曲をわずかにでも軽減させる効果があるのかもしれません。