掲載日:2017/04/09

WHAT IS 正座!?

第14回 今でもなじみ深い「座具」とは

著者橋詰 康子
イラスト時雨エイプリル
 今では洋風の家が多いこともあり、地べたに座るというよりは椅子に座っていろいろなことをする方の方が多いかと思います。習慣が変わるにつれ、服装や靴なども今の時代にあったものが流行してますし、過去に当たり前のように身につけていた着物や草履なども、今は一部の方にのみ愛用されているものとなりました。
 しかしどの時代でも、知恵を絞って発明されたものは多く、それらは今もいろいろなところで愛用されています。今回は、そういったものの中でも、座具として発展した道具をいくつかご紹介していきたいと思います。

・長時間正座を保つための小道具・座布団
 今では正座をする際、多くの方が座布団を敷きますよね。この座布団というものは、実は座禅を重視する禅宗で確立された小道具でもあります。正座をしている時間が長いと、どうしてもだんだんと猫背になったりと、姿勢の悪さが目立ってしまいます。座禅として正座の状態を長時間保つ必要のある禅宗では、こういった正座の難点を改善するために、座布団の使用を勧めたのです。
 しかし、禅宗で座禅の際に使用する座布団は、私たちが使うときと勝手が違います。具体的には、座布団の上にさらに「座蒲」と呼ばれる小さな座布団を足の間に置き、その上にお尻だけをのせて正座します。こうすると、腰への負担も小さく、姿勢の悪化も防げるのです。
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・私たちの生活にあった小道具・下駄
 今では水場での家事は、私たちが使いやすいようにある程度高さのある場所で行うことができるようになっていますが、昔はすべて地べたで行うことが多くみられました。洗濯一つとっても、私たちは洗濯機のボタンを押すだけでできますが、昔はかがんだ状態で洗濯板を使用していたのです。
whatisseiza_14_s1  このかがんだ状態の中も、かかとに座る態勢のことを「踵座」と呼びますが、昔はこの状態で水仕事を行うことが多かったようです。こういった習慣のために流行したのが、下駄です。
whatisseiza_14_s3  下駄は、このような踵座をする場合、前のめりになることでしっかりと固定される形となります。こうすることで、踵座の際にかかる足へのストレスを改善してくれる働きがあるのです。
whatisseiza_14_s2  もちろん下駄は、そういった意味だけでなく歩きやすさなどが理由で流行したかとも思います。しかし下駄は、座具として人々の足へかかるストレスを軽減してくれるという役割も持った小道具であったことは事実です。こういったところに、昔の人の工夫が垣間見えますね。
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・まとめ
 いかがでしたか? 正座をしやすくするために、いろいろなものが私たちの周りにはあふれているかと思います。時代が育ててきた座具である下駄や座蒲は、数は減ってもこれからも無くなることはない産物なのでしょう。ぜひ参考にしてみてください。


参考文献
矢田部英正(2011)『日本人の坐りかた』集英社新書.