[154]第6回 他国での正座


発行日:2012/03/01
タイトル:第6回 他国での正座
シリーズ名:正座のある生活
シリーズ番号:6

分類:電子書籍
販売形式:ダウンロード販売
ファイル形式:pdf
販売価格:100円

著者:上村 樹
イラスト:中理 柴

販売サイト
https://seiza.booth.pm/items/3131528

本文

 日本では正座はごく一般的なものとなっていますが、では海外の人はどのような座り方をしているのでしょうか?
 たとえばオーストラリアやインドでは、日本で正座が普及する前がそうだったようにアグラや立て膝が主流です。細かく見てみると、アグラや立て膝などに限らず各人色々な座り方をしています。
 また、アフリカなどでは足を伸ばした姿勢が主流です。黒人は私たち日本人とは骨格が違うため、膝を曲げるのがとても苦痛に感じ、その結果、自然とこのような姿勢になっていっています。
 同じ人間でも、骨格の違いなどにより国によって座る作法はかなり異なっていることがわかりますね。

 では、日本以外ではまったく正座は行われてはいなかったのかというと、そうではありません。
 たとえば中国でも唐の時代に正座をしていた時期があったことがわかっています。しかし残念ながらこれは椅子文化の普及により廃れてしまいました。椅子の存在も大きかったと思いますが「痺れる」というのも廃れてしまった理由に挙げられます。
 朝鮮半島に至ってはなんと正座は罪人の座り方として用いられています。これを聞くと、いかに正座をするのが辛いことなのかがよくわかりますね。
 しかし、痺れとつきあいつつ、正座が一つの歴史を築き上げてきた日本でも、現在では椅子などの西洋文化の普及により正座を行われる場面がなかなかなくなってきています。このまま日本でも正座は廃れつつあるのでしょうか。

 ところで、海外の人は正座についてどのような印象を持っているのか、聞いてみました。
 「正座は日本の精神文化としてとても重要視しており、修行になる」「実際にやってみると心が落ち着く」などの意見でした。海外の人には馴染みがないぶん、正座はある意味神聖視されている部分も見受けられます。
 逆に、「少し堅苦しく窮屈に感じる」という声もありました。
 また、日本人としてのアイデンティティを保つためにも、海外に渡ってもあえて修行として正座を行っているという人もいます。
 このように最近では、日本のみならず海外でも正座は広まりつつあるようなので、もし海外に行く機会があったとき、正座がきちんとできると「さすが日本人」と思われるかもしれませんね。

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