[195]第13回 実際に剣道をしていた父に正座について話を聞きました!


発行日:2016/12/25
タイトル:第13回 実際に剣道をしていた父に正座について話を聞きました!
シリーズ名:WHAT IS 正座!?
シリーズ番号:13

分類:電子書籍
販売形式:ダウンロード販売
ファイル形式:pdf
販売価格:100円

著者:HASHI
イラスト:中理 柴

販売サイト
https://seiza.booth.pm/items/3148303

本文

 華道や茶道など、活動している最中に正座を強いられる文化は日本には数多くあります。特に茶道では、長い時は4時間以上正座をし続けなければいけないときもあって、慣れていない方にとってはつらく感じることもあるかと思います。
 また、正座が習慣化している文化としては、弓道や剣道などの武道もあげられます。これらは、礼儀作法の一環として正座を強いられるほか、正座以外の姿勢も厳しく叱咤されることがあります。
 今回は、実際に学生時代剣道に打ち込んでいた私の父に、当時の正座について話を聞いてみました。

「剣道のなかで、正座は大切な役割を果たしていたよ。練習の後は、毎日正座をしながら黙想を10分間しなければいけなかったんだ。」
 剣道においての黙想は、仏教的な意味でのものではなく、あくまで練習後の昂った精神を落ち着かせるためのものでした。通常は練習後に10分間黙想を続けていたそうですが、それが30分になったり、練習前に黙想をすることもありました。
「剣道は礼儀作法も厳しかったよ。黙想の際も、きちんと横にきれいに防具を置いて、正座も独特の方法で座らなければいけなかったんだ。」

 剣道はその道場や流派によって、礼儀作法の細かいところが違っていることもあります。当たり前だと思っていたことが、実はほかの道場では仕様が異なっていた、ということは珍しいことではありませんでした。
 先ほどもご紹介した、黙想においてもきちんと作法が決まっていました。父が通っていた道場では、練習中も付けていた防具をとり、横にきれいに並べてから黙想をしていました。その際、正座は足の親指と親指をしっかりと合わせて座るようにいわれていたといっています。
「今ではすぐに足がしびれてしまうけど、昔はどれだけ正座していても、足がしびれることはなかったんだよ。昂った精神を抑えるためにも、きっと正座をして黙想することは大切なものだったのかもしれないね。」
 剣道では、礼儀作法が重視されることがほとんどです。ときには脅威になり得る力だからこそ、しっかりと精神を落ち着かせる必要があるのかもしれません。黙想という習慣は、練習の最初と最後という大事な面で、重要な役割を果たしていたのでしょう。
 父は今でも当時の竹刀を大事にとってあります。剣道は若かりし父を構成していたかけがえのないものの一つとして、きっとこれからも父を形作っていくのでしょう。そこには昂った精神を落ち着かせるための黙想という概念も、映し出されているように感じます。
 剣道だけでなく、他の武道と正座もいろいろな関わりがあります。気になった方は、ぜひ調べてみてください。

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