[174]第15回 目指せ! 浴衣美人


発行日:2015/12/13
タイトル:第15回 目指せ! 浴衣美人
シリーズ名:とりあえず座れ
シリーズ番号:15

分類:電子書籍
販売形式:ダウンロード販売
ファイル形式:pdf
販売価格:100円

著者:かねしろさく
イラスト:中理 柴

販売サイト
https://seiza.booth.pm/items/3131641

本文

 残暑も厳しい今日このごろですが皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
 私は今年は忙しくて、あまり夏らしいことができなかったなぁ。今年こそは浴衣を着て花火を見たかったのだけど。せめて残暑のうちに庭で線香花火でもやりたいものです。

 そういえば浴衣にも流行があるのをご存知だろうか。色や柄など、毎年少しずつ違ったものが流行るのです。ここ数年の浴衣の流行をちょっと見てみましょう。

2013年 黒地に模様の入ったシックな浴衣
2014年 とんぼや紙風船、アサガオといった古典柄
2015年 昨年の古典調を引き継ぎ、さらに幾何学模様などの大正モダン的な要素を足したレトロ風

 これよりもっと前は、襟元にレースのついた浴衣や、ミニ丈の浴衣など、浴衣に洋服のようなアレンジを加えたものが流行った時期もあったようです。そういえば子供の頃にミニ丈浴衣を着たギャルのお姉さんを見た記憶があります。
 しかしここ数年の浴衣の流行は、シックや古典がキーワードのようです。帯締めをつけたりして浴衣を着物風にするアレンジのほうが今は人気。
 これは最近の黒髪ブームの影響かもしれません。古典的な浴衣には自然な黒髪がよく似合います。日本古来の柄の浴衣を、日本人である自分の本来の髪色で着こなす。それが近ごろの浴衣スタイルなのかな、と考えています。
 来年はどんな浴衣が流行るのだろう。まだまだ古典が流行る予感。
 今年の夏は仕事と生活に追われていたな……。お疲れさま会と称した飲み会でビアガーデンに行ったくらいのもので。
 だから、来年こそは新しい浴衣がほしい! いやまだ今年も納涼祭りには間に合う?
「白い浴衣がほしいなー」なんて話していたら、友人から「えーっあんたが白い浴衣着てたら幽霊っぽいよ」とつっこまれてしまいました。失礼な! 確かにそのとき寝不足で青白い色の顔をしていたけど、夏休みを謳歌している小学生たちを羨ましいというかもはや恨めしい目つきで見てしまっていたけど、あんまりな言いぐさじゃないか……。しかし友人は気にせず一言。

「あんたは色白だから紺の浴衣とかのほうが似合うと思う」

 なるほどね、人それぞれ似合う色ってあるよね。最初からそうやってもっと誉めておだててくれよ!
 逆に色黒の友人は

「私がダークカラーの浴衣で花火大会に行ったら闇夜と同化しちゃうから」

 とキッパリ。潔いほど自分をわかっていらっしゃる……。さすがに忍者じゃあるまいし闇と同化は言い過ぎですけど。

 流行りものを身につけるのは楽しいけど、自分に合うものを選ぶのは大事です。とくに浴衣は上から下まで同じ色がベースになるから、自分に似合う色合わせは重要。
 今まで持っていた浴衣がなんだか子供っぽい、若すぎるかも、なんて思ったら帯だけ変えてみてもいいかもしれませんね。
 また、ユニクロやイオンのリーズナブルな浴衣を買って、好みの帯や小物で自分らしさを加えるのも賢いおしゃれ。浴衣ってちゃんとしたところで買うとなかなか高いですからね。身も蓋もない話だけど、そう何度も着るものでもないし、流行りや気分で何枚も買えるかというとなかなか……。


 もっとお手軽に楽しむ方法はないかしら、と調べてみたところ、やっぱりありました。レンタル浴衣。着付けのサービスも併設しているところが多いので、そういうところなら手ぶらで行っても大丈夫。
 とくに京都や浅草といった観光地では浴衣レンタルのサービスをやっているお店が多いです。
 私は仕事でよく浅草を通りかかるのですが、浴衣や着物を来た人を一年中見かけました。駅前にレンタルをやっているお店があるようです。外国人が家族で浴衣を着ていたり、卒業旅行のシーズンには女子学生が揃って浴衣姿で人力車に乗っていたり、微笑ましくも華やかな光景を目にすることができます。
 浴衣を着て日本の観光地を散策してみるのもきっと楽しいはず。
 浴衣でのお出かけで注意したいのは振舞いです。姿勢が悪いとせっかくの浴衣も台無し。そして洋服のときなら問題ない動きも浴衣や着物のときは行儀が悪く見えてしまうことがあります。大股で颯爽と歩くよりも、普段より小さい歩幅で歩いたほうが良い。
 立つ、座る、歩く、階段の登り降りといった日常の基本動作はいつもより小さくゆっくり行うと綺麗に見えます。

 ここで日本正座協会らしく、浴衣での座り方に注目してみよう。せっかくの和服でお出かけならば、立ち寄るお店も雰囲気のある掘りごたつやお座敷のお店に行きたくなりますよね。やはり基本は正座です。
 正座をするときは、片足を半歩引き、帯下の合わせの前になっている部分を軽くつまんで、半歩引いた足のほうから膝を折り座る。左右の親指を重ねると綺麗に見えるとお茶の先生から教わりました。
 前傾姿勢でおしりに体重をかけすぎないほうが足が痺れにくい。
 足が痺れたまま立つのは危ないので、立つ前に跪座の状態で足を慣らすといいと思います。
 掘りごたつでも足を伸ばすと裾がめくれたりしわになってしまったりするので、正座が無難。
 また、椅子に座るときは背もたれに寄りかかって帯を潰さないように浅く腰かけよう。
 汚してしまったときはなるべく早くクリーニングに出すのはもちろん、その場ですぐ簡単にでもいいのでシミ抜きしましょう。
 着ているものや見てくれの綺麗さだけでなく、振舞いが優雅だと人はとても魅力的に見えるものです。自分に似合う一着を素敵に着こなして浴衣美人を目指したい。
 気づけば私は、「毎年夏になると浴衣が着たい!」 と言っている気がします。しかし、水着が着たい! とは不思議と思いませんね。……ダイエットがんばろう。

あわせて読みたい